吉田ルートの特徴
吉田ルートはなぜ人気?
吉田ルートは富士山に登る人の半数以上に使われています。
他のルートに比べて緩やかで歩きやすいこと、岩場が少なく整備された部分が多いことが登山者に選ばれる大きな理由です。
山小屋が充実していて初心者でも安心
吉田ルートには山小屋が多く、泊りがけの富士登山にも利用しやすいコースです。
特に登山初心者は山小屋に宿泊することで時間と体力に余裕をもって登山を楽しむことができ、高山病の発症リスクも下がります。
また、富士登山最大の醍醐味ともいえるご来光を見るには、山小屋での宿泊が必須です。
山小屋を予約せずに夜間に登山を行う「弾丸登山」は危険なため禁止されています。日が出ている時間帯以外に行動したい場合は必ず山小屋に宿泊しましょう。
さらに、救護所の数も多いため万が一の事態が起きた時でも安心です。
日中なら日帰り登山が可能
体力に自信のある人、高山への登山経験が豊富な人なら、吉田ルートを使って日中の日帰り登山をすることが可能です。
早朝に登り始めて午前中か遅くともお昼ごろに登頂できれば、日没までに下山するスケジュールが立てられます。
ただし、吉田ルートは人気が高く登山道が渋滞するなど混雑することも少なくありません。状況に応じて、無理なく登山を楽しみましょう。
吉田ルートの距離とコースタイム
吉田ルートの距離
吉田ルートは緩やかな分、ほかのルートに比べて距離は長めです。
登山ルートと下山ルートが分かれており、上りは約6.8㎞、下りは約7㎞で、往復13.8㎞を歩きます。
登山ルートの中で最も距離が短い富士宮ルートが往復約8.6㎞なので、吉田ルートが少しずつ標高差を稼ぐロングコースであることがわかります。
吉田ルートで富士山に登る時間は?
富士山五合目から山頂まで登るのにかかる時間は約6時間です。
人それぞれペースが異なるため、この時間を目安として考えてください。
山小屋を予約している場合、日没までに間に合えば無理に時間内に登る必要はありません。余裕をもって歩きましょう。
吉田ルートで下山するのにかかる時間は?
山頂から五合目まで下りてくるのにかかる時間は約4時間です。
下山道は登山道に比べて歩きやすいと言われていますが、他のルートとの合流や分岐で迷いやすいため注意が必要です。
吉田ルートはどんな道?
登山道
五合目から六合目
五合目を出発したあとしばらくは緩い下り坂が続きます。
道幅が広く歩きやすいため、急がず体力を温存しながら歩きましょう。
約20分歩くと、「泉ヶ滝」という分岐点で吉田口登山道と合流し、向かって右の道に進みます。ここから本格的な上りが始まります。
六合目から七合目
六合目からはジグザクの広い砂利道を登っていきます。
森林限界を超えて木がなくなり日影がないため、熱中症や脱水に注意が必要です。
七合目の手前から岩場が始まります。滑落しないようバランスを取りながらようゆっくり登りましょう。六合目から七合目までは約1時間です。
七合目の最初にある山小屋「花小屋」には売店があり、飲み物を買って休憩することができるので、体を標高に慣らすために利用しましょう。
トイレも24時間利用可能です。また、七合目には医師が常駐している救護所があり、開山期間中は24時間体制で治療を受けることができます。
七合目から本八合目
七合目からは岩場が急になり、混雑時にはこのあたりからご来光を目指す登山客の渋滞が起きることがあります。
八合目までは点在する山小屋を通りながら狭い道を進んでいきます。
中でも赤い鳥居が富士登山のランドマークになっている「鳥居荘」は有名です。七合目から八合目までの所要時間は約1時間20分です。
八合目付近からは標高が3000mを超え、高山病のリスクが高まってきます。こまめに休憩をとり無理せず登りましょう。
救護所が併設されている八合目最初の山小屋「太子館」に到着すれば、五合目から頂上までの約半分の標高を登ったことになります。
八合目の先には本八合目があります。この間、「白雲荘」など山小屋が多数あり、休憩に立ち寄ることができます。八合目から本八合目までの所要時間は約1時間20分です。
本八合目付近は長い階段が続いており、昔から難所とされてきました。
本八合目には「本八合目トモエ館」など山小屋があり休憩やトイレに利用できます。ここで須走ルートと合流し、頂上へと向かいます。
本八合目から山頂
本八合目から山頂までの所要時間は約1時間30分です。途中にある山小屋は「御来光館」だけで、九合目にも山小屋などの施設はないので、トイレは本八合目で済ませておきましょう。
富士山の山頂はルートによって分かれており、吉田ルートを登った場合は吉田口・須走口の山頂に到着します。
山頂には世界遺産富士山の重要な構成資産の一つである久須志神社があります。登頂を成功させてくれた富士山の守り神にぜひ手を合わせてみてください。
時間に余裕があるなら、富士山の火口を見下ろしながら一周する「お鉢めぐり」をしてみてはいかがでしょうか。
一周の距離は約780mで1時間30分程かかります。お鉢めぐりをしないと富士山で最も標高が高い地点である3776mの剣ヶ峰には到達できません。
下山道
吉田ルートは登山道と下山道が分けられています。
また、登る時期によって下山ルートが違うので、注意が必要です。
山梨側の開山日である7月1日から静岡側の開山日である7月10日のルート開通時刻までは山頂から本八合目まで上りと同じ道を引き返し、本八合目から下山専用のコースを進みます。
7月10日の開通時刻以降は山頂から下山専用の道を通る必要があり、「下江戸屋」という山小屋がある八合目の分岐点で、吉田ルートの下山道と須走ルートの下山道が分かれます。
誤って須走ルートへ下山してしまう登山客も多いため、地図や看板をしっかりと確認しながら迷わないに注意しましょう。
開山期間は山梨側・静岡側それぞれ天候や残雪の影響で前後する可能性があります。事前の情報確認を行い、正しいルートを使って登山しましょう。
吉田ルートの登山口へのアクセス
富士山パーキングに駐車して五合目へ
五合目に向かうシャトルバスは「富士山パーキング」という大型の駐車場が発着点になっています。
マイカーで富士登山に出かける場合は、富士山パーキングに車をとめ、シャトルバスに乗り換えましょう。
東富士五湖道路・富士吉田ICの隣にあり、中央道・河口湖ICからも近いので、様々な方面からアクセスしやすい駐車場です。
トイレや観光案内所なども併設しており、登山前に一息ついたり、下山した後の旅程を決める際にも役立ちます。
電車や長距離バスを使って富士登山に向かう際には、河口湖駅から五合目に向かうバスをご利用ください。
富士山パーキング
- 住所 山梨県富士吉田市上吉田字剣丸尾5597-84
- TEL 0555-72-9900
- 営業時間 4月1日~11月30日 9:00~17:00 ※マイカー規制中は24時間、観光案内所は18時までの営業
- 駐車料金
- マイカー規制期間中のみ自動車1台1回につき1,000円(二輪自動車125cc超を含む)その他期間は無料
- 施設案内 駐車場(駐車台数1,400台)、観光案内所、トイレ
- アクセス 中央自動車道河口湖ICより約4分 東富士五湖道路富士吉田ICを降りてすぐ
- WEB https://www.fujisanparking.jp/
富士山周辺のおすすめスポット
富士登山と合わせて楽しめるおすすめのスポットやツアーをご紹介します。
富士眺望の湯ゆらり お風呂で疲労回復
富士眺望の湯ゆらり
- 住所 山梨県南都留郡鳴沢村8532-5
- TEL 0555-85-3126
- 営業時間 10:00~21:00(土日祝は~22:00)
- 定休日 無休
- 料金 大人10:00~19:00:平日1400円 土日祝1700円 19:00~:平日1200円 土日祝1500円
子供(4歳~小学生)平日750円 土日祝800円 - 駐車場 無料(130台)
- アクセス
- 【車】中央自動車道河口湖ICから20分
- 【公共交通機関】富士急行河口湖駅よりバスで約20分(無料送迎バスあり)
- WEB https://www.fuji-yurari.jp/
富士緑の休暇村 登山前後の宿泊に
富士緑の休暇村
- 住所 山梨県南都留郡鳴沢村字ジラゴンノ8532-5
- TEL 0555-85-2236
- 駐車場 普通車130台
- アクセス
- 【車】中央自動車道河口湖ICから車で約10分
- 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりバスで約20分(無料送迎バスあり)
- URL https://www.kyukamura.jp/
富士観光トラベル 五合目の観光ツアー
富士観光トラベル
- 住所 山梨県南都留郡富士河口湖町船津3644-1
- TEL 0555-73-1391
- 営業時間 9:00~18:00
- 定休日 年中無休(冬場は土日祝休み)
- 駐車場 なし
- アクセス 河口湖駅前より徒歩1分
- URL https://www.fujikanko-travel.jp/jp
まとめ
世界中から登山客や観光客が押し寄せる富士山。
麓や五合目から見上げるだけでも十分楽しめますが、山頂にたどり着いた時の達成感やご来光の美しさは実際に歩いて登った人しか味わえないものです。
難易度が低く初心者でも登りやすいルートして人気が高い吉田ルートですが、登頂を成功させるためには、しっかりとした装備で登山に臨むことが不可欠です。
富士登山に最適な服装や装備についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
「富士山の登山に最適な服装は? 富士登山するなら知っておきたい装備」
さらに事前の情報収集や当日のペース配分なども重要です。
入念な準備をしてたくさんの感動を味わえるような富士登山にしましょう。