毎年多くの人が登る富士山ですが、2022年には16万人もの人が登山しています。

気軽に登れる山というイメージもあり、一度は挑戦してみたいという方も多いのではないでしょうか。

「富士山の登山ルートはどのようなものがあるのか知りたい」
「初心者でも無理なく登れる富士山のルートが知りたい」
「それぞれの富士登山ルートの魅力や難易度を知りたい」

この記事では、富士山の登山ルートについて詳しく解説しながら、富士山頂のお鉢巡りや周辺スポットについてもご紹介します。

この夏、富士山を訪れてみたいという方は、ぜひ参考にしてください。
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富士登山の主要4大ルートとは? 難易度順に魅力や特徴を比較

富士登山に使われるルートとしては、主に以下の4つがよく知られています。
・吉田ルート
・富士宮ルート
・須走ルート
・御殿場ルート
それぞれ開山日や難易度、山頂までの所要時間も異なります。
富士登山では、どのルートを使っても10時間前後の時間を要しますので、必ず1泊2日で登山計画を立てるようにしましょう。
ここからは、ルート別に特徴や魅力を詳しくご紹介します。

最も人気で初心者向け | 吉田ルート

富士スバルライン五合目を登山口とする吉田ルートは、難易度も低く人気も高い、最もよく知られたルートです。
登山者の6割近くがこのルートを使用するとあって、開山シーズンは毎年賑います。

魅力と特徴

吉田ルートの魅力は、初心者でも比較的登りやすいという点です。
山小屋や売店、救護所やトイレが多く、初めての富士登山で勝手がわからないという方でも安心して利用できます。
初心者向けのツアーなども充実していますので、利用してみるのもおすすめです。
山小屋は7〜8合目に集中していて、ここで1泊して山頂を目指すのが一般的な登山スタイルです。
天候条件が良ければ、ルート上からご来光が見られることもあります。

<吉田ルートの特徴>
・コースタイムは約9時間ほど
・混雑している
・設備が充実している

注意点

吉田ルートで最も注意すべき点は、人気があるゆえの混雑度合いです。
8合目で別の登山ルートである須走ルートと合流するため、とくに8合目より先では登山者が渋滞する光景も当たり前になっています。
混んでいることを前提とした、ゆとりある登山計画を立てることが必要です。

2番目に人気 | 富士宮ルート

富士宮ルートは主要ルートの中では最短距離であることから、吉田ルートに次ぐ人気を誇ります。
ご来光を拝むためには、九合目の山小屋宿泊をすると、ちょうど良いペースで登ることができるコースです。
吉田ルートほどではありませんが、それなりに混み合っているので、登山計画にはゆとりを持つことをおすすめします。

魅力と特徴

富士宮口五合目からスタートする富士宮ルートの魅力は、所要時間が短く済むという点です。
また、吉田ルート同様に登山道の整備もしっかりしていて、山小屋は各合目ごとにあります。
急な岩場や段差のきつい階段などもあり、最短コースならではのダイナミックな登山を楽しめるコースです。

<富士宮ルートの特徴>
・最短ルートである(コースタイムは8時間半ほど)
・それなりに混雑する
・山小屋などは整備されているが、急な岩場などが多い

注意点

富士宮ルートで注意したい点としては、登山道が急であることです。
岩場や段差が多く、体力消耗は大きくなりますし、急な傾斜が続くため高山病リスクも高いルートとなります。
時間はかかっても吉田ルートでゆっくり登る方が楽に感じる人もいるでしょう。

経験者向け | 須走ルート

須走口五合目よりスタートするのが須走ルートで、砂走と呼ばれる砂地や樹林帯など、景観の変化に富んだコースです。
くさり場やハシゴを登る必要がありますし、下山道の砂地では転倒しやすいため、ある程度経験がある人向けのコースとなっています。
八合目からは吉田ルートと合流するため、頂上付近では混雑するものの、それ以外の部分はおおむね空いているルートです。

魅力と特徴

須走ルートの魅力ポイントは、ダイナミックな景観が楽しめる樹林帯です。
夏場の富士登山では日光も体力を奪いますが、樹林帯では日光を遮るため、晴れた日でも暑さを軽減できます。
経験者向けルートのため、比較的空いていて、混み合うのが苦手な人にもおすすめです。

<須走ルートの特徴>
・比較的空いている
・経験者向けである(コースタイムは9時間半ほど)
・本八合目以降は吉田ルートと合流する

注意点

須走ルートでは、その特徴でもある樹林帯や砂地での登山の進め方に注意が必要です。
樹林帯では悪天候の時はかなり暗くなりますし、霧が出ると見通しが効きづらくなります。
下山ルート上の砂走も、足をとられたり、滑ったりして転倒する危険性があり、慎重に進まなくてはなりません。

上級者向け | 御殿場ルート

登山者が一番少ないのが、最長ルートでもある御殿場ルートです。
御殿場口新五合目からスタートし、行程も標高差も一番大きくなります。
下山ルートには須走ルートの「砂走」を上回るダイナミックな砂地「大砂走」があり、ここを滑るように駆け降りるのが病みつきになるという人も少なくありません。
山小屋や救護所などが少ないため、装備をしっかりして登る必要があり、上級者ルートとして知られています。

魅力と特徴

御殿場ルートには、ハシゴやくさり場を登ったり、下りでは「大砂走」を駆け降りたりと、本格的な登山を楽しめる魅力があります。
また、山小屋などが少なく利便性が低いため、登山者が少ないことも特徴です。
豊富な登山経験があり、混雑を避けて登りたいという方におすすめのルートです。

<御殿場ルートの特徴>
・コースタイムは12時間ほど
・登山者が少ない
・七合目までは山小屋がない

注意点

御殿場ルートでの注意点は、最長ルートで時間がかかるという点です。
さらに、くさり場などの険しいポイントもあり、山小屋などの設備も少ないことから、十分な装備を整える必要があります。
初めて富士登山をする場合、他の山での登山を十分に経験していないのであれば、このルートは避けたほうがいいでしょう。

2008年にできた! 知られざる秘密の登山ルートとは?

富士山の代表的な登山ルートを4つご紹介しましたが、富士山にはこれ以外にもいくつかの登山ルートがあります。
その1つが、2008年にできたプリンスルートです。
どんなルートなのかご紹介します。

プリンスルート

プリンスルートは2008年に天皇陛下がまだ皇太子であられた際、富士山登頂をされたルートなのです。
皇太子殿下(現天皇陛下)が歩んだコースであることから、この名前がつけられました。
富士宮口五合目からスタートして、剣ヶ峰を目指す面白いルートです。

魅力と特徴

プリンスルートの魅力としては、宝永火口を歩けることです。
御殿場ルートの大砂走りも通るため、登山の醍醐味が味わえます。
御殿場ルートと富士宮ルートを活用したルートのため、両方のルートの魅力ポイントをいっぺんに体験できるコースとなっています。

<プリンスルートの特徴>
・コースタイムは9時間弱
・比較的空いている
・分岐が多く迷いやすい

注意点

プリンスルートを登る際に注意したいのが、分岐が多いことから迷わないように気をつけるという点です。
初めてこのルートを登る場合は、ルートを知っている経験者と同行することをおすすめします。
とくに帰路で大砂走を通る際は、途中に分岐点があるので、通り過ぎてしまわないよう注意が必要です。
通り過ぎてしまっても御殿場口につながりますが、富士宮口へ向かうよりはハードな道のりになってしまいます。

富士山頂に来たらぜひ回りたい「お鉢巡り」

富士山の山頂まで到達したら、ぜひ体験してほしいのが火口周辺をめぐる「お鉢巡り」です。
ここからは、お鉢巡りの回りかたや、主な立ち寄りスポットをご紹介します。

お鉢巡りとは

富士山頂は火口周りがくぼんだ鉢の形状となっていて、その周囲を一周ぐるりと回ることを「お鉢巡り」と言います。
所要時間は休憩なしで大体1時間半〜2時間程度かかり、スポットに立ち寄ることも考えると3〜4時間程度を見ておくといいでしょう。
登頂後に体力がきつい時や、天候が良くない時などは危険ですので、体力に余力があり好天の時に行うようにしてください。
また、日帰り登山でお鉢巡りをするのは時間的に厳しいです。
お鉢巡りをしたい場合は必ず山小屋を予約して宿泊する行程を組むようにしましょう。

お鉢巡りのメインスポット

お鉢巡りではいくつかの見どころもあり、立ち寄れるスポットもあります。
吉田ルートと須走ルートで登頂した場合を想定して、時計回りに主なスポットをご紹介します。

富士山頂上久須志神社

吉田・須走ルートで登頂した場所には久須志神社が鎮座しています。
奥宮末社として大己貴命と少彦名命をお祀りするお社です。
お参りや記念撮影をする人も多く、お守りをいただくこともできます。
近くには山小屋もいくつか並んでいて混み合うものの、食事がとれるスポットでラーメンが人気です。

富士山頂上浅間大社奥宮

久須志神社から時計回りに30分ほど進むと、浅間大社奥宮が鎮座しています。
立派な鳥居の奥には石を積んで造られた社があり、木花佐久夜毘売命(このはなさくやひめのみこと)をお祀りしています。
周囲には宿泊が可能な山小屋や郵便局があり、富士山の山頂からハガキを出すこともできるスポットです。

日本一高い!剣ヶ峰

浅間大社奥宮から「馬の背」と呼ばれるお鉢巡りの最難関コースを登って20分ほどで、3775.6m地点である「剣ヶ峰」に到着です。
ここが日本で一番高い地点となり、富士登山をしたらぜひ到達しておきたいスポットです。
富士山気象観測所があり、天気がいいと記念撮影の順番待ちの列ができることも珍しくありません。

押さえておきたい富士山周辺施設

富士登山に出かける場合、装備が荷物になるので、できればマイカーで行きたいという方もいるのではないでしょうか。
夏場の富士山ではマイカー規制があり、五合目まで車で登ることができなくなります。
代わりに専用の駐車場に停めて、そこからバスで五合目を目指すことになるので注意が必要です。
ここからは、富士登山にマイカーで向かう場合に車を預ける場所や、登山の前後で立ち寄っておきたいおすすめスポットをご紹介します。

富士山パーキング

富士山に吉田ルートで登る場合に利用できる駐車場は、河口湖にある富士山パーキングを利用します。
こちらにマイカーを預け、パーキングから出ているシャトルバスで五合目まで移動となり、帰りもシャトルバスで戻ってくる形です。
富士山パーキングには観光案内所もあり、周辺施設の割引券などももらえます。
駐車場の料金は1回1台1,000円で、シャトルバスは大人往復料金が2,500円です。
(料金は2023年運行期間の情報です)

富士山パーキング

  • 住所   山梨県富士吉田市上吉田字剣丸尾5597-84(東富士五湖道路富士吉田IC東隣)
  • TEL    0555-72-9900
  • 施設案内 駐車場(駐車台数1,400台)、観光案内所、トイレ
  • 営業時間 4月1日~11月30日 9:00~17:00 ※マイカー規制中は24時間、観光案内所は18時までの営業
  • 駐車料金 マイカー規制期間中のみ自動車1台1回につき1,000円(二輪自動車125cc超を含む)その他期間は無料
  • WEB   https://www.fujisanparking.jp/

富士眺望の湯ゆらり

「富士眺望の湯 ゆらり」は、山梨県富士五湖の西湖近くにある日帰り温泉施設です。
登山で疲れた体を温泉でじっくり癒すのにおすすめのスポットで、内湯からも露天風呂からも富士山の勇姿を一望できます。
お食事どころも充実していて山梨名物のほうとうや地元のブランドミートである甲州富士桜ポークを使ったメニューが楽しめ、スタミナ回復にもおすすめです。

富士眺望の湯ゆらり

  • 住所   山梨県南都留郡鳴沢村8532-5
  • TEL    0555-85-3126
  • 料金   大人:平日1,400円、土日祝日1,700円 子ども:平日750円、土日祝800円
  • 営業時間 平日10:00〜21:00、土日祝10:00〜22:00
  • 定休日  年中無休
  • 駐車場  130台(無料)
  • アクセス (車)中央道河口湖ICより車で約10分
  •      (電車・バス)富士急行線河口湖駅より約20分、送迎バスあり
  • WEB   https://www.fuji-yurari.jp/

ふじてんリゾート

冬はスキー場として賑わい、夏は富士山の高原でアクティビティが楽しめる「ふじてんリゾート」もおすすめのスポットです。
マウンテンバイクやサマースキー、BBQやトレッキングなど様々なアクティビティがあり、富士山を眺めながら夏のレジャーを満喫できます。

ふじてんリゾート(グリーンシーズン)

  • 住所   山梨県南都留郡鳴沢村字富士山8545-1
  • TEL    0555-85-2000
  • 料金   リフト券 1日券4000円、3時間券3000円
  • 営業時間 9:00~16:45
  • 定休日  木・金曜日
  • 駐車場  2,500台(グリーンシーズンは無料)
  • アクセス 中央道河口湖ICから本栖湖方面へ車で20分
  • WEB   https://www.summer.fujiten.net/

まとめ

富士登山は初心者でも気軽にできるイメージがありますが、日本一高い山に登ることになりますので、しっかりとした装備や体力作りなどの準備が必要です。
富士登山は登山ルートによって魅力も難易度も変わってきます。
初めて富士山に登るのであれば、経験がある人と一緒に行くのがおすすめです。
また、頂上まで登り切る自信がないという方でも、周辺には適度なトレッキングを楽しめる施設があります。
雄大な富士山の姿を間近に堪能しながら体を動かすのも気持ちが良いものです。
登山後はぜひ山麓の温泉なども一緒に楽しんで、疲れを癒しながら登山の余韻を楽しんでみてはいかがでしょうか。

関連施設

富士山パーキング

富士山パーキング

富士登山シーズンのマイカー規制期間中、富士山五合目へ向かうシャトルバスに乗り換えるための大型駐車場です。オフシーズンには、富士山を望む芝生広場で様々なイベントや催し が開催されます。

富士眺望の湯ゆらり

富士眺望の湯ゆらり

眼前に広がる雄大な富士山の眺めを楽しめる日帰り温泉です。開放感抜群の「霊峰露天風呂」や溶岩洞穴を模した「洞窟風呂」など、富士山の眺望と趣向を凝らした16種類のお風呂が楽しめます。

ふじてんリゾート

ふじてんリゾート

富士山の高原で、サマースキーやマウンテンバイクなどのアウトドアスポーツが楽しめます。また、初心者でも楽しめるサバイバルゲームフィールドやバーベキュー、トレッキングなど、夏のアクティビティが充実しています。

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