いつ頃見られるの?

富士山の山肌に見られるのは例年4月下旬から5月中旬、ちょうどゴールデンウィークのころですが、冬場の降雪量や風の強さ、春先の天候などによって出現する時期は毎年変化します。
昔は出現する時期によって、その年の天候や吉兆を占ったとも言われています。
地元の富士吉田市では農鳥が確認されると公式に発表され、農鳥が地元のみなさんに親しまれているのがわかります。
過去10年で1番早い出現は2015年の4月6日とされていて、さらに遡って2000年以降では、2001年、2003年、2006年に季節外れの1月や2月、11月に出現が確認されています。
2017年にも季節外れの11月に農鳥が現れて、新聞で取り上げられるなどちょっとしたニュースになりました。
どんな形をしているの?

はっきりと鳥の形を認識できるのは、ちょっと太ったヒヨコのような某サブレに似たかわいらしい形です。
写真では形が崩れていますが、赤線で囲った部分にある残雪が何となくヒヨコのような形に見えるでしょうか?
その他にも、細身で山頂に向かってはばたくような形や、尾を長く垂らして翼を大きく広げた鳳凰の形が見られる年もあります。
農鳥がしっかりと確認できる年は豊作になるとも言われています。
実は他にもいろんな形があります

そして実はこの雪形、時期によって他の形も見られるようです。
まだ富士山に雪が多く残っているころには、山肌全体に「冬じい」や「サンタさん」と呼ばれる白髭のおじいさんの顔が、雪解けが始まるころには「火の玉小僧」が、農鳥が出現する少し前には山頂に向かって駆け上がる「白馬」が出現するのだそうです。
そしてこの雪形の面白いところは、だまし絵のように見方を変えると他の形にも見えてくることです。動物に見えたり、横顔に見えたり、想像上の生き物に見えたりと、様々な形に見えてきます。
人によっても見え方が変わるので、どんな風に見えるか持ちかければ、意外な返事が返ってくるかもしれません。
あくまでもその人の見え方なので、納得するかどうかはあなた次第。
雪解けが進むにつれて雪形談義に花が咲きそうです。
おすすめ撮影ポイントは?

農鳥の出現時期が早ければ桜と農鳥の共演も楽しめるのが河口湖の北岸です。
約200本の桜と河口湖、そして富士山の組み合わせは地元に住んでいてもわざわざ見に行く価値のある絶景です。
そしておすすめなのが富士吉田市にある農村公園です。
タイミングが合えば、水が入った田園と富士山という日本の原風景を撮影することができます。
また、田んぼの水面が鏡のように反射して、風がなければ逆さ富士を撮影できるスポットとしても知られています。
公園内には季節の花々や大きな東屋、水車小屋もあって、小川が流れているとてものどかな公園です。
撮影の後は、肩の力を抜いてのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか。
2024年の農鳥

写真は河口湖の長崎公園から4月26日に撮影したものです。
今年は寒い日が多く、桜の開花も遅れていましたが、4月に入り暖かな日が続いたことから例年よりも早い出現となりました。
(2024年4月26日、河口湖長崎公園)
2021年の農鳥


ぐずついた天気が続いていますが、雲の切れ間から農鳥を発見。
農鳥は富士山の残った雪が、山頂に向かって飛んでいく鳥のように見える現象で、昔から田植えや農作業を始める時期の目安とされています。
撮影した農村公園も田植えが始まっていました。気温の上昇と共に消えてしまいますのでこの時期ならではの光景です。
(2021年5月20日撮影、1枚目は農村公園、2枚目は河口湖畔より)
2018年の農鳥

前日までの雨天で富士山の姿が見えませんでしたが、久しぶりの晴天に農鳥が羽ばたいているのがはっきりと見えます。
発表の時期としては例年通りとのことです。
気温が上がるにつれて小さくなり消えてしまうので、今しか見られない富士山の風物詩です!
(2018年5月12日)