浅間神社は富士山信仰の拠点として、長きにわたり多くの修験者、富士講信者と強い関わりを持ってきました。富士山周辺の浅間神社を訪ねれば、昔の人が富士山に抱いていた思いや、富士山がただ美しいだけの山ではないことが分かるでしょう。
今回は、富士山の歴史を紐解くために訪れたい浅間神社についてご紹介します。
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富士山信仰の起源・浅間神社!由来や歴史、祀られている神様は?

【浅間神社の起源】
浅間神社は、かつて火山活動が活発だった富士山が幾度となく噴火を繰り返し、それを鎮めるために建てられたのが起源とされています。はじめに建てられたとされる静岡県の「富士山本宮浅間大社」を総本社として、のちに富士山信仰の広まりとともに、富士山麓地域を中心として全国各地に浅間神社が建立されてきました。
「浅間神社」という名前の由来は諸説ありますが、浅間は「あさま」という読み方もできることから、伊勢の朝熊山からとった説などがあるようです。
【祀られている神様】
浅間神社の主祭神は「木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)」。浅間大神(あさまのおおかみ)と呼ばれることもあります。このはなのさくやひめのみことは、富士山の噴火を鎮めた「水徳の神」であり、安産、農業、織物業などに関する守護神であるともいわれています。
また、桜を御神木としており、浅間神社には桜の木が多く植えられています。
【富士山信仰の拠点に】
富士山はかつて噴火を繰り返していたころから、神仏が宿る神聖な山として崇拝の対象となっていました。富士山を遠くから仰ぎ見て崇拝する「遥拝(ようはい)」を行っていた時代には浅間神社が遥拝所の役割を果たしており、頂上まで富士登山する「登拝(とはい)」へと信仰の形が変わってからは、登拝を行う富士講信者が多く立ち寄るようになりました。浅間神社は富士山信仰と密接な関係にあります。

浅間神社から富士山を崇拝 富士講とも深く関わる山梨県のスポット

【新倉富士浅間神社】
山梨県富士吉田市にある新倉山の中腹に鎮座しています。本殿は西暦705年に創建され、807年に起きた富士山噴火の際は鎮火祭が行われたとも伝えられています。
本殿のほかに忠霊塔と、そこへ続く398段の石段「さくや姫階段」が有名です。忠霊塔と富士山を一望できる展望デッキがあり、春には桜が咲き誇る美しい景色が目の前に広がります。展望デッキは2022年に改修され広くなりました。神社への参拝と合わせて、絶景を写真におさめてはいかがでしょうか?

新倉富士浅間神社

  • 住所   山梨県富士吉田市浅間2-4-1
【北口本宮冨士浅間神社】
富士山信仰が「遥拝」というかたちだった頃は遥拝所として、また「登拝」が主流になってからは富士山吉田口登山道の起点として多くの修験者や富士講信者が立ち寄った由緒正しい神社です。本殿前の大鳥居と楼門、境内にそびえる杉と桧の2本の巨木など、神聖で厳かな雰囲気を感じられ、かつて富士山頂を目指した人々の思いが伝わってきます。

北口本宮冨士浅間神社

  • 住所   山梨県富士吉田市上吉田5558
【河口浅間神社】
864年に起きた富士山の大噴火を鎮めるために建立された神社です。境内には樹齢1000年を超える巨大な七本杉があり、パワースポットとしても人気があります。特に7本の杉のうち、隣り合った2本は「縁結びの杉」と呼ばれています。
近くには富士山ビュースポットである「天空の鳥居」や、冬になると凍り付くことで有名な「母の白滝」もあるため、合わせて立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

河口浅間神社

  • 住所   山梨県南都留郡富士河口湖町河口1
【冨士御室浅間神社】
9世紀初めに吉田口登山道二合目に建立されたという伝承が残されており、富士山中に建てられたなかで最古の浅間神社とされています。現在は河口湖南岸の勝山地域に本殿が移設されていますが、かつて多くの登拝者の拠点となっていました。
移設後もその神秘的な雰囲気は感じられ、境内には桜の木が多く植えられていることから、春には桜の鑑賞スポットとしても多くの人が訪れます。

冨士御室浅間神社

  • 住所   山梨県南都留郡富士河口湖町勝山3951

富士山信仰の総本山 浅間神社の本宮がある静岡県のスポット

【富士山本宮浅間大社】
全国に祀られた浅間神社の総本宮であり、富士山を鎮めるためにはじめて浅間大神を祀った、浅間神社の起源でもあります。徳川家康によって現存する社殿が造営されたと伝えられています。
境内には国の天然記念物に指定されている湧水池「湧玉池」があります。また、富士宮口登山道の山頂には浅間神社の奥宮が鎮座しています。奥宮では開山期に御朱印をいただけるので、御朱印を集めている方は富士宮ルートから登山に挑戦してみてはいかがでしょうか?

富士山本宮浅間大社

  • 住所   静岡県富士宮市宮町1-1
【山宮浅間神社】
本殿が無く、遥拝所だけがあるという少し変わった神社です。参道を登り切った先がそのまま遥拝所となっており、木々の間から富士山が見えます。富士山自体が信仰の対象となる山岳信仰のあるべき形なのかもしれませんね。
参道には2つの「鉾立石」があります。これは神事の際に神の宿った鉾を置き、休憩する為につくられたそうです。

山宮浅間神社

  • 住所   静岡県富士宮市山宮740

富士山麓の浅間神社のなかには世界遺産も

【世界遺産登録されている浅間神社は8つ】
ここまでご紹介した浅間神社の中には、世界遺産に登録されている神社もあります。
北口本宮冨士浅間神社、河口浅間神社、冨士御室浅間神社、富士山本宮浅間大社、山宮浅間神社がこれに該当し、このほかにも村山浅間神社、須山浅間神社、冨士浅間神社と計8つの浅間神社が富士山の構成資産として世界遺産に登録されています。
【富士山の文化的価値を証明】
世界遺産に登録されている浅間神社はいずれも富士山信仰へのかかわりが深く、世界文化遺産に登録された富士山の文化的価値を裏付ける建築物です。富士山信仰の歴史を肌で感じることができるこれらの神社を巡ってみてはいかがですか?

世界遺産富士山の構成資産について

浅間神社などパワースポット巡りができるツアーを紹介

【富士観光トラベルのツアーがおススメ】
富士観光トラベルでは、浅間神社やその他の名所、パワースポットを巡るハイキングツアーやウォーキングツアーを開催しています。この土地に詳しいガイドが案内してくれるため、富士山信仰や富士講の歴史について知識を深めつつ、パワーをもらうことができます。いずれも日帰りで楽しめるツアーなので、気軽に富士山や浅間神社の魅力について触れてみてはいかがでしょうか?

富士観光トラベル

  • 住所   山梨県南都留郡富士河口湖町船津3644-1
  • TEL    0555-73-1391
  • 営業時間 9:00~18:00
  • 定休日  土曜日/日曜日/祝日
  • WEB   https://www.fujikanko-travel.jp/jp
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