逆さ富士とは
富士五湖の湖面で見られるのはもちろんのこと、静岡側の麓にある田貫湖や、遠くは箱根の芦ノ湖でも見ることができます。
ただし、逆さ富士が観測できる条件は限られるため、いつでも見られるわけではありません。
このため、見られると縁起が良いともされていて、古くから日本人に愛されてきた風景です。
冒頭でも触れましたが、逆さ富士は江戸時代には葛飾北斎の富嶽三十六景に描かれています。
また、昭和の初めに撮影された本栖湖からの逆さ富士の風景は「湖畔の春」と題され人気を博し、のちに千円札や五千円札で裏面のデザインとして採用されました。
千円札の裏面には、現在でも本栖湖の逆さ富士を見ることができます。
逆さ富士が見られる条件
まず第一に晴れていることです。
曇りでも条件が良ければ逆さ富士を見ることはできますが、雲がかかってしまう分、鮮明さには欠けてしまうでしょう。
もう一つの条件は風がないことです。
富士山を映し出す水面が凪いでいればいるほど、逆さ富士が綺麗に映ります。
風があると水面に細かな波ができてしまうため、無風の日を選んで観測することをおすすめします。
逆さ富士は、一般的に早朝や気温が低い冬場に見やすいと言われています。
天候と風の具合をチェックし、早朝の見やすい時間を狙う必要があるので、事前準備をしっかりしておくことが大切です。
逆さ富士が見られるスポット
逆さ富士を楽しみたいのであれば、一番おすすめしたいのが富士五湖周辺です。
5つの湖すべてにビュースポットが点在し、それぞれの景観を堪能することができます。
ここからは、富士五湖で逆さ富士が見られる場所を、湖ごとにご紹介します。
山中湖
その中でもおすすめなのが、北川の湖畔に位置する長池親水公園です。
また、南岸にある旭日丘湖畔緑地公園でも、湖面に移る富士山を観測することができます。
周囲の風景と逆さ富士の組み合わせは、湖畔をめぐる位置によって変わってきますので、お好みのアングルを探しながら散策してみるのがおすすめです。
長池親水公園（山中湖親水公園）
- 住所 山梨県南都留郡山中湖村平野3222番地先
- 料金 無料
- 営業時間 終日
- 定休日 無休
- 駐車場 普通車80台
- アクセス
- 【車】東富士五湖道路山中湖ICから約10分
- 【公共交通機関】富士急行線富士山駅よりバスでクリスマスの森バス停下車
旭日丘湖畔緑地公園
- 住所 山梨県南都留郡山中湖村平野506-296
- 料金 無料
- 営業時間 終日
- 定休日 無休
- 駐車場 普通車100台
- アクセス
- 【車】東富士五湖道路山中湖ICから約10分
- 【公共交通機関】富士急行線富士山駅よりバスで山中湖旭日丘バス停下車
河口湖
産屋ヶ崎や河口湖大橋の周辺は撮影スポットとして人気があります。
また、河口湖には遊覧船が走っていますので、船上から逆さ富士を見ようという方も少なくありません。
通行料の多い河口湖大橋で逆さ富士の撮影にチャレンジする場合は、周囲の安全を確認し、周りに迷惑がかからないように気をつけてください。
八木崎公園
- 住所 南都留郡 富士河口湖町河口/浅川
- 料金 無料
- 営業時間 終日
- 定休日 無休
- 駐車場 普通車約20台
- アクセス
- 【車】中央自動車道河口湖ICから約15分
- 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりバスで湖山亭うぶや前バス停下車
本栖湖
お札と同じアングルが見られるのは、本栖湖畔から30分くらい登山道を登ったところにある中ノ倉峠展望台です。
水深が富士五湖の中で最も深く、透明度も抜群に高い本栖湖は、気象条件が整えば、とても美しい逆さ富士を堪能できるスポットです。
中ノ倉峠展望地
- 住所 山梨県南巨摩郡見延町中ノ倉川尻2926
- 料金 無料
- 営業時間 終日
- 定休日 無休
- 駐車場 普通車約20台
- アクセス
- 【車】中央自動車道河口湖ICから約35分
- 【公共交通機関】JR身延線下部温泉駅からバスで浩庵荘入口バス停下車
西湖
西湖で見る逆さ富士は神秘的で、周囲の山々の景観と合わさって、独特な風景を楽しむことができます。
西湖でおすすめの撮影スポットは根場浜周辺です。
駐車場もあってのんびりと景色を眺めたり写真を撮りながら過ごすことができます。
バードウォッチングや青木ヶ原樹海のトレッキングなど、逆さ富士と併せて楽しめる要素も満載です。
西湖根場浜
- 住所 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖
- 料金 無料
- 営業時間 終日
- 定休日 無休
- 駐車場 普通車28台
- アクセス
- 【車】中央自動車道河口湖ICから約20分
- 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりバスで西湖いやしの里根場バス停下車
精進湖
さらに、水中プランクトン濃度が濃いめなことから水面がやや緑がかっていて、富士山が湖面に反射しやすいという特徴があります。
こうした条件が揃っていることから、天候さえ良ければ逆さ富士を見やすいスポットとして知られています。
撮影スポットとして狙い目なのが北西側の他手合浜（たてごうはま）あたりで、精進湖ならではの子抱き富士の逆さ富士を見られる場所です。
他手合浜
- 住所 山梨県南都留郡富士河口湖町精進483
- 料金 無料
- 営業時間 終日
- 定休日 無休
- 駐車場 普通車100台
- アクセス
- 【車】中央自動車道甲府南ICから約30分
- 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりバスでパノラマ台下バス停下車
逆さ富士の他にもある！富士山の魅力
富士山の魅力は逆さ富士だけではありません。
季節や時間帯によって、驚くほど表情を変えるのもまた、富士山の魅力です。
ここからは、逆さ富士の他に見られる、富士山の美しい現象をご紹介します。
ダイヤモンド富士／ダブルダイヤモンド富士
富士五湖では、山中湖や本栖湖で観測することができます。
山中湖では、10月〜2月ごろの日没時にかけて見られ、本栖湖では12月下旬〜1月上旬に日の出の際のダイヤモンド富士を見ることが可能です。
ダイヤモンド富士を見るためには晴れていることが絶対条件。
それに加えて無風の条件が重なれば、湖面にもダイヤモンド富士が映り込む「ダブルダイヤモンド富士」を見ることができるかもしれません。
ダイヤモンド富士については、こちらの記事でも詳しくご紹介していますので参考にしてください。
「冬はダイヤモンド富士の時期！おすすめの観測スポットを紹介」
パール富士
満月で晴れていれば月の出の1時間後や月の入りの少し前の時間帯に見られます。
富士五湖では、ダイヤモンド富士と同じく山中湖と本栖湖で観測できます。
ただし、月の軌道によって見られるポイントがその都度変わり、観測の難易度はダイヤモンド富士よりも高いです。
カメラ好きの方向けに、撮影時期やポイントを計算するサイトやアプリが出ていますので、チャレンジしたい方は事前にチェックしてみるといいでしょう。
赤富士／紅富士
「赤富士」とは、夏の終わり頃の早朝に、朝日に照らされた富士山が赤く見える現象です。
これに対して「紅富士（べにふじ）」という現象もあり、こちらは冠雪して白くなった富士山に朝日や夕日が当たって紅色に染まった状態を指します。
赤富士が観測できるのは山中湖や忍野村など、富士山北麓地域です。
特に山中湖畔からは、条件が良ければ赤富士の逆さ富士を捉えることもできます。
紅富士は朝日での撮影は山中湖で、夕日であれば精進湖や本栖湖がおすすめスポットです。
子抱き富士
これは、精進湖の他手合浜から富士山を眺めた景色を指していて、富士山の手前にある大室山の姿が、富士山が子供を包み込んでいるように見えることから呼ばれる愛称です。
その足元には青木ヶ原樹海が広がり、荘厳ながらも柔らかみを感じる風景は、一見の価値があります。
逆さ富士のご紹介でも触れましたが、晴れていて風がない時であれば、子抱き富士の逆さ富士という、精進湖独特の逆さ富士を楽しむチャンスです。
美しい富士山を見るためにはしっかりと準備しよう
写真撮影にチャレンジする場合、その現象が見られる時期や時間帯、ビュースポットをきちんと調べておくことがポイントです。
特に、ダイヤモンド富士やパール富士は、日の出や月の出の時刻に合わせないとならず、遠方から訪れる場合は宿泊場所の確保が必須となります。
撮影や観測をする場所の周囲に駐車場があるかどうかや、公共交通機関で行けるかどうかも調べておくと安心です。
また、冬場や夜間、早朝など、気温の低い時期に見られるケースが多いことから、しっかりとした防寒対策も忘れないようにしてください。
山梨での富士山撮影時に抑えておきたい施設3選
駐車場を調べておけば、路上駐車で迷惑や危険をかけるリスクをなくせますし、休憩できる場所を知っていれば、ゆとりを持って行動できます。
ここからは、山梨県側で富士山撮影をする際に知っておくと便利な施設をいくつかご紹介します。
1.産屋ヶ崎駐車場
河口湖で逆さ富士を撮影するなら、河口湖大橋近辺がおすすめで、中でも産屋ヶ崎は人気があるスポットです。
こちらには台数は少ないながらも駐車場があるので、路上駐車をせずに落ち着いて撮影ができます。
河口湖大橋と富士山の眺めといった、河口湖ならではの風景も写真に収められますので、逆さ富士を見に行く際にはぜひ利用してみてください。
また、河口湖周辺は駐車場事情がよく、他にも気軽に利用できる駐車場があります。
河口湖周辺の駐車場情報については、こちらの記事も参考にしてください。
「河口湖の駐車場 富士山観光におすすめの無料駐車場もたくさん！」
産屋ヶ崎
- 住所 山梨県南都留郡富士河口湖町河口/浅川
- 料金 無料
- 営業時間 終日
- 定休日 無休
- 駐車場 普通車約20台
- アクセス
- 【車】中央自動車道河口湖ICから約15分
- 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅からバスで湖山亭うぶや前下車
2.富士眺望の湯ゆらり
逆さ富士やダイヤモンド富士の撮影で体が冷えたら、ぜひ周辺の温泉でぽかぽかに温めてください。
キャンプや車中泊、日帰りで富士五湖を訪れたら、日帰り入浴できる「富士眺望の湯ゆらり」がおすすめです。
内湯と露天風呂どちらからでも富士山の勇姿が眺められ、爽快な気分で温泉を満喫できます。
レストランも併設されていますので、一緒にご当地グルメも堪能して見てはいかがでしょうか。
富士眺望の湯ゆらり
- URL https://www.fuji-yurari.jp/
- 住所 山梨県南都留郡鳴沢村8532-5
- TEL 0555-85-3126
- 料金 大人：平日1,400円、土日祝日1,700円 子ども：平日750円、土日祝800円
- 営業時間 平日10：00〜21：00（土日祝は22：00まで）
- 定休日 年中無休
- 駐車場 130台、無料
- アクセス
- 【車】中央道河口湖ICより車で約10分
- 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅より無料送迎バスあり
3.富士緑の休暇村
山中湖以外の4つの湖にアクセスしやすい立地で、いろいろな逆さ富士を狙いたい方にも使いやすい場所にあります。
温泉も利用でき、露天風呂からは富士山を眺められ、特に朝の景観が美しく人気です。
冬場以外はオートサイトのキャンプ場も開放されており、キャンピングカーでの利用にもぴったりです。
サイクリングやハイキングなどアクティビティメニューも揃っていますので、撮影だけでなくいろいろな過ごし方ができます。
富士緑の休暇村
- URL https://www.kyukamura.jp/
- 住所 山梨県南都留郡鳴沢村字ジラゴンノ8532-5
- TEL 0555-85-2236
- 駐車場 普通車130台
- アクセス
- 【車】中央自動車道河口湖ICから車で約10分
- 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりバスで約20分（無料送迎バスあり）
まとめ
富士山と周辺の自然が作り出す圧倒的な景観は、いつでも見る人の心を豊かにしてくれます。
湖面に美しく映し出される逆さ富士の姿を、ぜひカメラに収めてみませんか。
何度か訪れてチャレンジしてみて、撮影のコツが掴めてきたと思ったら、難易度を上げてダイヤモンド富士やパール富士に挑戦してみるのもおすすめです。
富士五湖周辺には、逆さ富士や子抱き富士、赤富士や紅富士といった富士山と自然のコラボを観測できるスポットがたくさんあります。
景色を撮影するだけでなく、温泉やグルメ、ショッピングもできる場所がたくさんありますので、お好きな過ごし方で楽しんでください。
