日本の象徴でもある富士山は、夏山シーズンの7月上旬〜9月上旬にかけて国内外から多くの登山者が訪れます。
しかし冬季になると積雪や凍結、強風など過酷な環境となるため、登山の難易度は非常に高くなります。
この記事では、冬の富士山がどのような状況になるのか、冬でも富士登山が可能なのかを解説し、安全な登山のポイント、さらに冬でも楽しめる富士山周辺の観光スポットについて紹介します。
富士登山を計画する際や、冬の富士山観光を満喫したい時に役立ててみてください。
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冬季の富士登山は原則禁止

冬の富士山は日本の冬山・雪山の中でもトップクラスに登山の難易度が高く、特に厳冬期にはマイナス数十度の低温、強風、凍結、積雪など過酷な自然環境にさらされます。
さらに、夏に比べて天候も変わりやすく、遭難や滑落などの事故リスクが高まるため、冬の富士登山原則として禁止されています。
軽い気持ちで冬登山を行いトラブルに見舞われたとしても、すべて自己責任です。
登山の技術や経験、体力に長けたプロでも命を落とすことがあるほど難易度が高く危険ですので、絶対にやめましょう。

雪や凍結で非常に難易度が高い

富士山では例年10月ごろから6月ごろまで積雪があり、真冬から春先にかけて1mから2mほど積もります。
雪によって足元が滑りやすくなるのはもちろん、強風や突風によって吹雪が発生すれば、視界が悪くなり遭難のリスクが一気に高まります。
さらに、雪が溶けて凍ってを繰り返すことによって作られる分厚いアイスバーンの斜面は、アイゼンやピッケルの刃が刺さらないほど固く、雪上よりも滑りやすいため、登山時にも下山時にも非常に危険です。

登山ルートも山小屋も閉鎖される

冬季を含む閉山期間中は富士山の登山ルートがすべて閉鎖され整備が一切行われません。
登山道が雪に埋もれて見えないため、状況に応じてより安全なルートを探しながら登山する必要があります。
また、山小屋やトイレ、救護所も閉鎖されるため、いざという時に避難する場所も助けを求める場所もなく、安全の確保が困難です。

富士山に登れるのは7月から9月上旬まで

富士山は夏の開山期間のみ登山することができます。
安全に登山を楽しむためには、この限られた時期を選び、しっかりと準備を整えて臨むことが重要です。

富士山は開山シーズンに登ろう

富士登山が可能になる開山シーズンは例年7月から9月上旬までのおよそ2か月間です。
雪解けが進み、天候が比較的安定するこの期間にのみ各登山道が開通し、登山者が通行できるようになります。
開山期間は山梨県側と静岡県側で異なり、山梨県側の吉田ルートは例年7月1日に、静岡県側の3ルート(富士宮口・須走口・御殿場口)は例年7月10日に山開きが行われ、閉山はすべてのルート共通で9月10日です。
ただし、天候や残雪の状況によって前後する場合もあるので、注意が必要な他、ルートごとに難易度が異なるので、自分の体力などに合わせて適切なルートを選ぶようにしましょう。

開山期間中は山小屋が多数営業しており、宿泊はもちろん、登山中に休憩や食事をしたり、飲み物などを購入することも可能です。
山小屋のスタッフに加え、救護所には医師も常駐しており、万が一のケガや体調不良など緊急時にも助けを求めることができます。

装備・服装の準備は万全に

夏の開山期間であっても、安全に登頂を果たすためには、適切な装備・服装が必須です。
登山靴やリュック、長袖長ズボンの着用など基本的な装備に加え、防寒着やレインウェアといった高山の自然環境から身を守るための装備も持参しましょう。

関連記事「富士山の登山に最適な服装は? 富士登山するなら知っておきたい装備」→

ルールを守って安全な登山を

富士山登山には様々なルールがあります。
ルールを守ることが登山者自身の身を守ることにつながります。

弾丸登山の禁止

山小屋に宿泊せず、夜間に一気に山頂を目指す弾丸登山は禁止されています。
急激な標高が上がることによって、高山病を引き起こしやすいだけでなく、疲労による転倒や滑落のリスクも高くなります。
山小屋を利用し、標高になじむ時間を確保することで、体への負担を軽減することが大切です。
また、ゆったりとしたスケジュールを組むことでご来光や星空観察など、富士山ならではの体験をより深く楽しむことができます。

登山規制・入山規制

2025年は山梨県側・静岡県側の全ルートにおいて登山規制が行われました。
登山者の入山登録や山小屋の宿泊予約が必須になり、通行料(入山料)の徴収や、登山者の人数規制も実施されました。
規制内容は今後変わる可能性もあるので、富士登山を計画する際は、「富士登山オフィシャルサイト」や両県のホームページなどで詳細を確認することをおすすめします。

富士登山オフィシャルサイト」はこちらから→

マイカー規制

開山期間中は、御殿場ルートを除く3つのルートで、登山口に向かう道路が規制され、自家用車は通行できなくなります。
最も登山者が多い山梨側の吉田ルートでは、山麓と五合目をつなぐ有料道路「富士スバルライン」が規制されます。マイカーは山麓の指定駐車場「富士山パーキング」に駐車し、そこからシャトルバスやタクシーで五合目へ向かいます。

富士スバルラインについて詳しくはこちら→

関連施設

富士山パーキング

富士山パーキング

富士登山シーズンのマイカー規制期間中、富士山五合目へ向かうシャトルバスに乗り換えるための大型駐車場です。オフシーズンには、富士山を望む芝生広場で様々なイベントや催し が開催されます。

冬の富士山の魅力 登山以外の楽しみ方

冬の富士山は登山こそ危険ですが、麓から眺める姿は1年の中でも特に美しく、観光や写真撮影に最適な季節です。
また、景色の他にも、寒さが厳しいエリアならではの多彩な楽しみ方があります。
ここからは、登山以外で楽しめる冬の富士山の魅力をご紹介します。

富士山の冬景色を楽しむ

冬は気温が低く空気が澄みわたるため、富士山が最も美しく見える季節です。
冬ならではの富士山の絶景をいくつかご紹介します。

関連記事「富士山の冬景色の楽しみ方8選! 冬におすすめの周辺施設も紹介」→

富士山頂と太陽が重なるダイヤモンド富士

富士山の山頂に太陽が重なる「ダイヤモンド富士」は冬の山中湖を代表する絶景です。
10月中旬から2月下旬にかけて、山中湖各地のポイントで日没時のわずかな間だけ見ることができ、その名の通りダイヤモンドのような輝きは心を打ちます。
観測のチャンスが増える2月初旬から中旬は、「山中湖ダイヤモンド富士ウィークス」というイベントも開催されます。
イベントを締めくくるのは「山中湖アイスキャンドルフェスティバル&スカイランタン®フェスティバル」で、富士山を背景に数百個ものアイスキャンドルが暗闇に灯る光景は非常に幻想的です。
さらに、スカイランタンや打ち上げ花火など、幻想的な光景を堪能できる光の祭典ですので、ぜひ訪れてみてください。

関連記事「ダイヤモンド富士の聖地・山中湖へ幻想的な絶景を見に行こう!

山中湖ダイヤモンド富士ウィークス

  • 開催日程:毎年2月1日~2月22日
  • 開催場所:山中湖周辺(長池親水公園・山中湖パノラマ台など)
  • 駐車場:無料(スポットによって駐車が難しい場合あり)
  • 問合せ先:山中湖観光協会 0555-62-3100

山中湖アイスキャンドルフェスティバル&スカイランタン®フェスティバル

  • 開催日程:毎年2月22日
  • 開催時間:16:00~20:00
  • 開催場所:山中湖交流プラザきらら 原っぱ
  • 料金:無料
  • 駐車場:有料(現金のみ) 一般車2,000円
  • 住所:山梨県南都留郡山中湖村平野479−2
  • アクセス:
  • 【車】東富士五湖道路山中湖ICより20分
  • 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりバス「交流プラザきらら」下車後徒歩3分

湖面に写る富士山が楽しめる逆さ富士

湖面に富士山が映り込み、ダブルの富士山が楽しめる「逆さ富士」は、晴天で風がなく、湖面に波が立っていない条件が揃えば、一年を通して富士五湖の各地で観測できます。
しかし、空気が澄んでいる冬は、その条件が最も整いやすい季節です。
雪をまとった雄大な富士山が鏡のような湖面に映し出された姿は、息をのむような美しさで、ぜひ冬に見たい絶景の一つです。

関連記事「逆さ富士とは? 見られる条件やおすすめの観測スポットを紹介

山肌がピンクに染まる紅富士

「紅富士」は、冠雪した富士山が朝焼けや夕焼けの光に照らされ、柔らかなピンク色に染まる幻想的な現象です。
この絶景を観測できるのは、冬の日の出直後や日没直前のわずか数分間だけ。
山中湖では早朝に観測でき、冷え込みが厳しいほど空気が澄みわたり、富士山がより鮮やかな色で染まる確率が高まります。
冬だからこそ出会える特別な美しさをぜひ体験してみてください。

関連記事「山中湖の冬におすすめの観光スポット

冬の河口湖観光 おすすめスポット

冬におすすめの河口湖周辺の観光スポットをご紹介します。
息をのむ絶景や冬ならではのアクティビティで冬の富士山を大満喫しましょう。

関連記事「冬の河口湖観光 おすすめモデルコース&周辺スポット紹介

大石公園 裾野まで広がる富士山の絶景

「大石公園」は河口湖屈指の絶景スポットで、裾野まで広がる富士山を河口湖越しに眺めることができます。
空気が澄んでいる冬は、この絶景が一層際立ち、風がない日には湖面に逆さ富士が現れるチャンスもあります。
園内には「河口湖自然生活館」という施設があり、館内ではカフェやランチができるほか、お土産ショップも併設されています。絶景を楽しんだ後にぜひ立ち寄ってみてください。

大石公園について詳しくはこちら→

大石公園

  • 住所:山梨県南都留郡富士河口湖町大石252-11
  • TEL:0555-76-8230(河口湖自然生活館)
  • 営業時間:終日散策可
  • 定休日:-
  • 駐車場:約150台(無料)
  • アクセス:
  • 【車】中央自動車道河口湖ICより約15分
  • 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりバスで約25分

ふじてんスノーリゾート 間近に富士山が見えるスキー場

ふじてんスノーリゾートは、富士山の麓に立地するスキー場です。
初心者から上級者まで楽しめるコースやお子様連れに人気の雪遊びエリアがある他、富士山&河口湖の絶景が満喫できる展望デッキなど多彩な魅力があります。
また、冬の晴天率が約80%と高く、良質な人工雪のゲレンデで快適にウィンタースポーツを楽しめます。

ふじてんスノーリゾートについて詳しくはこちら→

ふじてんスノーリゾート

  • 住所:山梨県南都留郡鳴沢村字富士山8545−1
  • TEL:0555-85-2000
  • 営業時間:8:30~17:00、ただし特定日のみ8:00~(2月の連休など混雑期)
  • 定休日:-
  • 料金:券種によって異なる
  • 駐車場:2500台 土日祝と年末年始のみ1台1000円
  • アクセス:
  • 【車】中央自動車道河口湖ICより約25分
  • 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりシャトルバスで約25分

富士眺望の湯ゆらり 富士山の眺めが美しい日帰り温泉

日帰り温泉「富士眺望の湯ゆらり」は富士山を眺めることができる「霊峰露天風呂」や富士山の溶岩洞窟をモチーフにした「洞窟風呂」などバリエーション豊富なお風呂に加え、サウナやマッサージも楽しめる施設です。
地元のグルメや特産品が味わえるお食事処が併設されており、富士山観光の〆にお風呂と食事のセットで疲れを癒すことができます。
入泉券を購入すれば、貸しバスタオル・フェイスタオルが付いてくるので、手ぶらで立ち寄ることも可能です。

富士眺望の湯ゆらりについて詳しくはこちら→

富士眺望の湯ゆらり

  • 住所:山梨県南都留郡鳴沢村8532-5
  • TEL:0555-85-3126
  • 営業時間:
  • 【平日】10:00~21:00(最終入館:20:00)
  • 【土日祝】10:00~22:00(最終入館:21:00)
  • 定休日:- ※メンテンナンス休業あり
  • 料金:
  • 【平日】大人1,400円 子供750円
  • 【土日祝】大人1,700円 子供800円
  • 駐車場:130台(無料)
  • アクセス:
  • 【車】中央自動車道河口湖ICより約15分
  • 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅より無料送迎バスで約20分 バスの予約はこちらから

関連施設

ふじてんスノーリゾート

ふじてんスノーリゾート

都心から90分、雄大な富士山をバックにスキーやスノーボードが楽しめます。7つのコースには種類豊富なアイテムが揃っており、初心者も上級者も大満足の本格スキー場。雪遊びやそり遊びエリアも常設されているので小さなお子様連れのファミリーにもおすすめです。

富士眺望の湯ゆらり

富士眺望の湯ゆらり

眼前に広がる雄大な富士山の眺めを楽しめる日帰り温泉です。開放感抜群の「霊峰露天風呂」や溶岩洞穴を模した「洞窟風呂」など、富士山の眺望と趣向を凝らした16種類のお風呂が楽しめます。

富士山周辺で開催される冬のイベント

冬の富士山エリアでは様々なイベントが開催されます。
イベントでしか味わえない魅力を堪能し、富士山観光をより特別なものにしてみませんか?

関連記事「富士五湖の冬のイベント【2024年12月~2025年2月】」→

河口湖冬花火

「河口湖冬花火」は冬の河口湖の風物詩として人気のイベントです。
夏の花火大会のように1日限定ではなく、1月下旬から2月下旬の約1か月間毎週末打ち上げられるので、何度でも楽しめます。
空気が澄んだ冬の夜空に打ちあがる色鮮やかな花火は、夏よりもはっきりと見え、闇夜に佇む富士山のシルエットも魅力的です。

関連記事「河口湖冬花火 冬の夜空を彩る人気イベントをご紹介」→

河口湖冬花火

  • 開催日程:毎年1月下旬~2月下旬の土・日曜日及び2月23日(富士山の日)
  • 開催時間:20:00~20:20
  • 打上場所:大池公園(メイン会場)、畳岩、八木崎公園
  • 料金:無料
  • 駐車場:各打上会場近くに無料駐車場あり
  • 住所(大池公園):山梨県南都留郡富士河口湖町船津6713−18
  • アクセス(大池公園):
  • 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅からバスで約10分、「河口湖ハーブ館」下車
  • 【車】中央自動車道河口湖ICから約10分

西湖こおりまつり

「西湖こおりまつり」は、西湖野鳥の森公園で毎年2月上旬から中旬にかけて開催される、冬の恒例イベントです。
富士山麓の冷え込みを利用し、水を流して凍らせて作った高さ5メートルにもなる巨大な樹氷や氷像が立ち並び、迫力満点の氷の芸術を鑑賞できます。
日没後にはライトアップも行われ、昼間とは異なる幻想的で神秘的な雰囲気に包まれます。
キッチンカーの出店もあり、温かい食べ物や飲み物を購入できます。

関連記事「西湖の楽しみ方 周辺観光や穴場スポットも紹介」→

西湖こおりまつり

  • 開催日程:毎年2月上旬~下旬
  • 開催時間:終日散策可
  • 開催場所:西湖野鳥の森公園
  • 料金:無料
  • 駐車場:約40台(無料)
  • 住所:山梨県南都留郡富士河口湖町西湖2068
  • アクセス:
  • 【車】中央自動車道河口湖ICより20分
  • 【公共交通機関】富士急行線河口湖駅よりタクシーで25分

山中湖イルミネーションファンタジウム

「山中湖イルミネーション・ファンタジウム」は、山中湖花の都公園で例年12月上旬から1月上旬にかけて開催されるイベントです。
澄んだ夜空の下、様々な工夫が凝らされたきらびやかなイルミネーションが広大な園内を彩り、夕暮れ時には富士山のシルエットとの共演も楽しめます。
イベント期間中は毎週土曜日に打ち上げ花火も上がり、地上と夜空、2つの光の共演は寒さを忘れる美しさです。

山中湖花の都公園について詳しくはこちら→

山中湖イルミネーション・ファンタジウム

  • 開催日程:毎年12月~1月上旬
  • 開催時間:17:00~21:00
  • 打上花火:20:00~(開催期間中の土曜日に打上)
  • 開催場所:山中湖花の都公園
  • 入園料:400円(中学生以下無料)
  • 駐車場:220台(有料、300円/台)
  • 住所:山梨県南都留郡山中湖村山中1650
  • アクセス:
  • 【車】東富士五湖道路山中湖ICより約6分
  • 【公共交通機関】富士急行線富士山駅よりバスで「花の都公園」下車

まとめ

冬の富士登山は原則禁止であり、厳しい自然環境から一般登山者が挑戦するのは極めて危険です。
しかし、開山シーズンには安全な環境が整い、適切な準備を行えば、山小屋を活用しながら安心して登ることができます。

冬の富士山の魅力は危険な登山ではなく、美しく冠雪したその姿や、周辺の冬ならではのレジャー、イベントではないでしょうか。
ぜひこの記事を参考にして、冬の富士山周辺エリアを満喫してみてください。
LINE

ライター紹介

takumin